激流(上・下)

作者:柴田よしき|徳間文庫
中学の修学旅行で訪れた京都で、1人の少女が失踪した。
同じ班だった6人は、その少女をいじめていたのではと非難される。
6人は謂れのない非難に傷つき、それから20年が経過した。
35歳になった彼らは、様々な生き方をしていた。
班長だった圭子は、出版社の副編集長になり、夫とは離婚調停中。
醒めた雰囲気だった美弥は高校中退後、ロックバンドでデビューし、作家にもなるが、コカインで逮捕され、再起を図っている。
誰もが認める美少女だった貴子は、美貌を保ったまま、さえない夫と結婚したが、夫がリストラにあう。
優等生だった豊は、東大をでて、大手電機会社に就職するが、権力争いに巻き込まれ、妻と離婚し、窓際に追いやられていた。
豊と仲がよく、ホモだと疑われていた耕司は、苦学の末、刑事になっていた。
美弥と貴子に「私を覚えていますか?」と失踪した少女からメールが送られてくる。
その直後から、6人の周りには不可解なトラブルが発生し始める。


文庫本上下巻を合わせて900ページを超える長編だが、これは非常に面白かった。
殺人事件、不倫、売春、ストーカーなど多様な要素が満載で、謎がさらに謎を呼ぶ展開は、最後まで飽きさせない。
また、登場人物の造詣が上手く、6人がそれぞれ異なった性格なのだが、それぞれ好感が持てるのもいい。
たぶん、誰が読んでも面白い作品だと思う。傑作。

激流〈上〉 (徳間文庫)

激流〈上〉 (徳間文庫)