南の子供が夜いくところ

作者:恒川光太郎角川書店
一家心中をしようとしている家族のもとに現れた若い女性。
彼女はユナといい、120歳を超えていると両親に告げた。
タカシは両親と別れ、南の島に旅立った。
そこは精霊が住む不思議な島で、タカシは戸惑いながらも、島の生活に慣れていく。
連作で話は7つ収められているが、いずれも全く違う話のようなはじまり方をする。
読んでいると、だんだんと話がつながっていく、パズルのような小説だった。
初期の伊坂幸太郎に似ているが、この作家のほうが、言葉の使い方は美しい。
「雲の眠る海」は古代の戦士がタカシの島にやってくる幻想的な話で、面白かった。
ただ、話の出来には少しムラがあったのは少し残念。
デビュー作の「夜市」、2作目の「雷の季節の終わりに」が強烈過ぎた。
だからこの作家にはそれ以上のモノを期待してしまう。

南の子供が夜いくところ

南の子供が夜いくところ