摩天楼の怪人

作者:島田荘司創元推理文庫
1920年代のニューヨーク・マンハッタン。38階建ての高層アパートで不思議な事件が発生する。
女優達の相次ぐ自殺。屋上にある時計台の長針で、首を切り落とされた男性。
台風の日にこの建物のガラスがすべて割れ、この建物の設計者が落下し、死亡する。
その後、ニューヨークの演劇界を牛耳ってきたプロモーターが何者かに射殺される。
これらの事件はすべて迷宮入りしたが、このアパートに住んでいた女優が死の間際に告白する。
「プロモーターを殺害したのは私」だと。だが、状況を考えると不可能だった。
70年代初頭、ニューヨークで助教授を務めていた若き御手洗潔が、この謎に挑む。
久々に御手洗シリーズを読んだが、重厚なミステリーだった。
「アトポス」から始まる海外の事件。「水晶のピラミッド」「ねじ式ザゼスキー」に次ぐ作品となるのかな?
ストーリーは相変わらず面白い。第一次大戦直後、バブルに沸くアメリカ。直後の不況と禁酒法
文庫本で700ページ近い大作だったが、飽きることはなかった。
ただ、謎ときのトリックは、だんだんと陳腐になってきているように思う。
そろそろ、この人を超えるストーリーテラーの出現を望むが、後に続く作家がいないのが残念だ。

摩天楼の怪人 (創元推理文庫)

摩天楼の怪人 (創元推理文庫)