疾風ガール

作者:誉田哲也光文社文庫
バンド活動に見切りをつけ、芸能事務所に入社した祐司。
担当したアイドルを売り出そうとするが、失敗し、アイドルは引退してしまう。
失意の祐司は、偶然訪れたライブハウスで、夏美という少女に出会う。
夏美は19歳で、「ペルソナ・パラノイア」というバンドのギタリストだった。
夏美のルックスの魅力とギターの才能に衝撃を受けた祐司は、彼女をスカウトする。
だが、夏美はそっけなく、バンドを続けていくのでと、芸能界には興味を示さない。
祐司は夏美のあきらめきれず、夏美に接触を図る。
「ペルソナ・パラノイア」は観客動員数も増え、そろそろ、メジャーデビューかと思われた。
そんな矢先、ボーカルの薫が自殺をしてしまう。
薫は偽名でバンドに加入しており、他殺の疑いもあった。
夏美と祐司は薫の正体と犯人を探すために、タッグを組む。
青春ミステリだが、第三者から描く祐司と、夏美の視点から語られるストーリーはテンポがいい。
また、バンドのメンバーや、夏美と祐司が旅先で出会う、こよなくロックを愛する人たちの造詣もいい。
ストーリーだけでなく、ライブやスタジオの描写は結構リアルだ。
才能のある人間とそうでない人間。スピード感のあるコミカルな中に残酷さもある。
ミステリとしては平凡だったが、話は非常に面白かった。続編も出るようなので、楽しみだ。
この作者で最初に読んだのは「アクセス」という作品で、非常にくだらない駄作だった。
二度と読むことがないだろうと思っていたが、「ストロベリーナイト」で見逃せない作家となった。

疾風ガール (光文社文庫)

疾風ガール (光文社文庫)