ロンリー・ハート(上・下)

作者:久間十義|幻冬舎文庫
女性を車に引きずり込む拉致レイプ事件、中国人犯罪者による強盗事件。
綾瀬北署では、凶悪事件をいくつも抱えていた。
女性刑事の松島は、拉致レイプ事件の捜査をするが、被害女性の口は重い。
松島の上司の永倉は、中国人の強盗事件を追うが、福建省と上海出身者たちの対立に行きあたる。
高校生の博史は、悪友の昌樹や亮に馬鹿にされながらも、彼らとの付き合いを切れないでいた。
そんなとき、絢子という女子高生と出会い、惹かれていく。
実は、絢子の父は永倉で、家庭を顧みない父に反発を覚えながらも、父のことを気にしている。
博史と絢子が接近したことに気づいた昌樹や亮は、絢子を自分たちのものにしようと計画を立てる。
連続拉致レイプ事件は、ついに殺人事件に発展し、絢子にも危機が迫る。
永倉は日本の中国人社会に潜入し、裏取引を図り、犯人検挙に近づくが、娘の危機には気付かない。
つながりが無さそうな2つの事件をテーマにした警察小説だが、スリルはあった。
昌樹のサディスティックさと亮の陰険な性格は悪役ぶりを際立てている。
結末間近まではスリルがあった。ただ、中国人同士の抗争は中途半端だし、結末がイマイチ。
途中まで面白かったのに、「え、これで終わり?」という尻切れトンボの印象が強く残った。
松島と永倉のやり取りは面白かったのに残念。

ロンリー・ハート〈上〉 (幻冬舎文庫)

ロンリー・ハート〈上〉 (幻冬舎文庫)