天国の扉

作者:沢木冬吾|角川文庫

  • 文庫本裏書き

10年前、抜刀術・名雲草信流を悲劇が襲った。
末の娘・綾が放火により焼死してしまったのだ。
犯人は、1年後、別の現場に残された遺留指紋が決め手となって捕まった飯浜幸雄。
名雲家長男・修作がつきあっていた奈津の父親だった。
修作の父・名雲和也は公判に出廷した飯浜に襲いかかる騒動を起こし、失踪。
奈津は母親とともに土地を離れていってしまう・・・・。
守ものべきものは何か?愛する者との絆の在処を問う感動巨編!

  • あらすじ・感想

冒頭、修作は何者かに拉致され、殺人事件の容疑の罪を被せられる。
警察に追われながら、濡れ衣を晴らすために犯人を探す修作。
刑事の宇月は修作を追いながらも、真犯人は別にいると感じていた。
修作は故郷に戻り、失踪した父の足跡を聞くために抜刀術の道場を訪れる。
警官隊に包囲された修作だが、師範の叔父が身代わりとなり、脱出に成功する。
東京に戻った修作は、自分を拉致した犯罪者集団に迫るが、失踪した父の姿が見え隠れする。
幾度となく危機に陥る修作だが、弟の龍平や東京の道場仲間に救われる。
死刑廃止運動を背後に、死刑囚の苦悶と家族の苦しみも描かれ、重厚な内容になっている。
また刀を持つと無敵の殺陣の描写もあり、アクションとしても面白い作品だと思う。
ただ、文庫本で700ページを超えるのは、時間つぶしには少し長すぎるように感じた。
面白いのだけど、惹きこまれるほどではない。