枯葉色グッドバイ

作者:樋口有介|文春文庫
元刑事の椎葉は子供の事故死をきっかけに、妻と離婚し、代々木公園でホームレスとなった。
トメさんという老人に拾われ、廃品回収を手伝い、焼酎が手放せない転落人生を送っていた。
女性刑事の夕子は、一家3人惨殺事件の捜査をしていたが、犯人の目星がつかず、焦っていた。
そんな時、代々木公園で女子高生の扼殺死体が見つかるが、夕子の事件の関係者だった。
現場に赴くと、新米の頃に指導を受けた椎葉の変わり果てた姿を発見する。
夕子の知る限り、椎葉は極めて有能な刑事で、憧れの教官だった。
夕子は日当2千円で椎葉を探偵として雇い、二人で捜査を開始する。
椎葉は惨殺事件の生き残りの長女の美亜に接触し、複雑な家庭事情を察知する。
また、代々木公園の女子高生殺害は、同じホームレス仲間に犯人がいることも突き止める。
ホームレス椎葉の活躍と、夕子と美亜の三角関係を描いたミステリー。
探偵役の椎葉は優秀だが、ホームレス同士とのイカれた会話が面白い。
話もよく出来ていたし、シリアスな展開の中に交わされる椎葉と夕子のやり取りが良い。
エンディングも気に入った。この作者の小説では、今のところこれが一番面白いと思う。

枯葉色グッドバイ (文春文庫)

枯葉色グッドバイ (文春文庫)