笑わせたるっ

作者:大崎知仁|ハルキ文庫
冴えない漫才コンビが、賞金1千万円のコンテストに挑む、青春コメディ。
結成4年を迎えた「ジャックポット」はボケの勝とツッコミの広志のコンビで、結成4年目。
さっぱりウケないわけではないが、爆発的な人気も出ず、そろそろ後輩にも先を越されるようになった。
そんなコンビが、賞金1千万円の漫才コンテストにエントリーするが、自信もなく、やる気も出ない。
だが、そんな二人の下に、勝の父親の借金を肩代わりしろと、闇金の取立てが訪れる。
その取立ては、かつて賞を総なめにした漫才コンビの片割れだった。
二人は借金を背負う条件として、取立ての男、石丸に弟子入りすることになった。
ボケとツッコミのチェンジや、1ヶ月で持ちネタの1千回披露など、過酷な特訓でコンビのレベルはアップしていく。
1次予選、2次予選とパスしていくが、最終予選前に、勝の父親が現れたことで、コンビは崩壊寸前となる。
漫才コンビをネタにした小説は非常に珍しく、肝心の漫才のネタは出てこない。
でも、舞台でしゃべっている臨場感、ライブを演じている芸人の緊張感が伝わってきて、面白かった。
作者の本業が吉本興業構成作家ということもあり、売れない漫才師の悲哀を的確に描写し、テンポがよく、一気に読み終えた。
漫才をネタにした小説を、もう1作は読みたいと思った。

笑わせたるっ (ハルキ文庫)

笑わせたるっ (ハルキ文庫)