床下仙人

作者:原宏一|祥伝社文庫
会社勤めのストレスの中で遭遇する不思議な体験を5つ集めた短編集。
表題作の「床下仙人」はマイホームの床下に住み着いた男に翻弄される家族を描いている。
「家の中に変な男が住んでいる」という妻の言葉に耳を貸さなかった夫は、次第に家に居場所がなくなっていく。
「てんぷら社員」は九州からやってきたリストラ社員が、会社を牛耳っている連中を追い出す話。
「戦争管理組合」は仕事に突き進み、結婚を諦めたOLたちが、男性社会に復讐しようという話。
「派遣社長」は、デザイン事務所に突然社長として赴任してきた居酒屋店主に戸惑うデザイナーの話。
「シューシャイン・ギャング」はリストラに遭った50男が、16歳の家出少女と渋谷で靴磨きビジネスを始める話。
5つの話はいずれも謎めいて、意外性にあふれ、笑えて、少し切なくて、非情に面白かった。
こういう本を発見できるから、本屋にはこまめに足を運ぶのだろうな。