制服捜査

作者:佐々木譲|新潮社
北海道警の強行犯係の巡査部長が、道東の駐在勤務となり、閉鎖的な住民と立ち向かう短編集。
5つの話が収録されているが、劇的な事件は一つもなく、淡々と描かれている。
最初の「逸脱」は読んだことのある話で、新潮文庫の「警察小説競作−決断」に収録されている。
殺人をもみ消そうとした地元の有力者に対し、交通事故を起こした容疑者を見殺しにする話。
「遺恨」は違法に中国人留学生を自分の農場で働かせていた男が殺される話。
「割れガラス」は虐待を受けている少年と流れ者の大工の交流を描いているが、大工は地元の有力者に追い出される。
いずれも巡査部長は見守るしかなかったが、最後にちょっとした復讐をする。
「感知器」は連続放火事件に一人で立ち向かう巡査部長と地元の有力者との対立が深刻になる。
最後の「仮装際」は13年前に起きた幼女誘拐事件と同じような事件が夏祭りで発生する。
ついに巡査部長は閉鎖的な地元の隠された部分を暴く。
田舎の閉鎖的なところと、小市民的な巡査部長が妙にリアルだった。

制服捜査

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