闇の底

作者:薬丸岳講談社
埼玉の住宅街で、小学生女児が誘拐され、殺害される事件が発生。
その直後、かつての性犯罪者が、首を切断され、惨殺される。
犯人は小さな児童を狙った事件が起こるたびに、性犯罪者を処刑すると予告する。
殺害した元性犯罪者の様子を、映像に収め、警察とマスコミに送りつける。
フランスの死刑執行人の「サンソン」を名乗る犯人は、次第に世間の共感を得る。
犯罪被害者の恨みによる犯行と読んだ警察は、過去の事件を洗いはじめる。
誘拐犯を追う刑事と、「サンソン」を追う刑事。それから「サンソン」の独白。
3つの視点で、物語はスピーディーに進む。犯人は途中でわかったように思った。
だが、鮮やかなどんでん返しがある。犯人は意外な人物だった。
デビュー作の「天使のナイフ」で江戸川乱歩賞を受賞したが、本作の方が面白い。
犯人の計画(性癖)は恐ろしく、後味は悪いのだが、こんなケリのつけ方はあまりにも意外だった。
こんなミステリーもありかな。もう少し残酷な描写に徹すれば傑作になっただろう。

闇の底

闇の底