ネジ式ザゼツキー

作者:島田荘司講談社文庫
スウェーデン脳科学者となった御手洗の元に、記憶に障害を持った男が訪れる。
彼、エゴン・マーカットは重度のアルコール中毒で、1974年以降の記憶が全く無い。
また、記憶が蓄積されることはなく、5分前にあった人のことも忘れてしまう。
だが、彼は「タンジール蜜柑共和国への帰還」という不思議な物語を出版していた。
巨大な蜜柑の木の上に家が立ち並び、そこに住む妖精や異形の人たち。
東西にしか走らない道と、空を飛ぶ人、国を統治する「サンキング」
ネジが外れてしまい、首が取れてしまう妖精。
御手洗はこの話は本当にあった話で、エゴンの記憶障害を解く鍵があると断言する。
かつて、アフリカで人類の祖先を探す生物学者だったエゴンは、何故記憶を失ったのか?
御手洗はスウェーデンの研究室にいながら、世界中の出来事を紐解き、謎を解く。
ベトナム戦争直後の混乱したミンダナオ島で見つかった、首の取れた実業家の死体。
世界中を放浪したジプシーたちの苦難の生活とゴーレムの蘇生に没頭する研究者の狂気。
スケールの大きな話で、読んでいる間は非常に面白かった。
でも、そのわりには犯罪の動機が陳腐だったので、イマイチで残念。

ネジ式ザゼツキー (講談社文庫)

ネジ式ザゼツキー (講談社文庫)