四度目の氷河期

作者:荻原浩|新潮社
自分の父親がクロマニヨン人だと、思いこんだ少年の成長の物語。
ワタルは物心のついた頃から、父親は不在で、研究者の母と二人暮し。
子供の頃から走るのが得意だが、感情を抑えることができず、友達はできない。
周囲の人たちも、母のことを未婚の母と軽蔑し、ワタルを差別する。
小学生になったワタルは、自分が周りと違うことに気づき、父のことを調べる。
そして、自分はアイスマンクロマニヨン人が父だと思いこむ。
マンモスを狩ることを夢見て、自分で石器を作るワタル。
そんな彼の前に、サチという少女が現れる。
サチと仲良くなるにつれ、かすかな恋情を覚え、周囲の人間とも付き合えるようになった。
ワタルは中学に進み、陸上競技に目覚め、その後、槍投げ競技に進む。
だが、二人で生きてきた母が、癌で倒れてしまう。
母とサチの前で、インターハイ槍投げ日本記録に挑むワタル。
一風変わった独りの少年の成長を描いた物語だが、抜群に面白かった。
450ページを越える長さだが、一気に読んでしまった。
母との別れのシーンは読んでいて、辛くなった。
最後にロシアで活躍するワタル。これは面白かった。
最近の作品では、ギャグが少し薄れているのが、少しだけ気にはなるけど。

四度目の氷河期

四度目の氷河期