オトシモノ

作者:福澤徹三角川ホラー文庫
頻繁に人身事故の起きる、首都圏の私鉄沿線に住む女子高生二人が主人公。
奈々は母親が心臓病で入院しており、小さな妹の面倒を見ていた。
香苗は将来に夢を見ることができず、刹那的な生活を送っていた。
接点のない二人だったが、大事な人を亡くしたり、行方不明になったことで知り合う。
その後、ヤエコという女性の持ち物を拾った人が、不思議な死に方をしていることを知る。
一方、幽霊を見た運転士の俊一は、遺失物倉庫勤務に左遷されていた。
事故が頻発するトンネル付近には、いわくつきの何かがあるらしい。
十分な怖さと、面白さがある作品だけど、この作家にしてはイマイチ。
そこで何かがあった、それに触れてはならないと、登場人物に語らせる手腕はピカイチ。
今、怪談を語らせると、この人が一番面白い。
だからこそ、異形を登場させたのは残念だ。これが、他の作家なら面白いと思ったのだが。

オトシモノ (角川ホラー文庫)

オトシモノ (角川ホラー文庫)