BT'63(上・下)

作者:池井戸潤講談社文庫
心を病み、妻も仕事も失った琢磨は、父の遺品の謎の鍵を手にする。
鍵を握ると40年前に父の史郎が見ていた風景が鮮やかに甦る。
史郎は傾いた運送会社を立て直すために、日本初の宅配便を企画する。
鏡子との出会いや、銀行の桜庭の協力もあり、前途は明るかった。
でも、不良ドライバーと殺し屋が暗躍し、会社は倒産する。
琢磨は今まで知らなかった父の過去を追うことで、自分を癒そうとする。
父は過去を何故隠そうとしたのか、また父が必死に立ち向かった姿を描く。
高度経済成長期にあった闇を、ボンネットトラックが走る描写が印象的だ。
非常にスリリングで、話は面白かった。上下巻の長さは感じなかった。
一つだけ残念なのは、琢磨が何故病んだかということに言及がなかったことかな。
これは読んでいても退屈することはなかった。