澪つくし

作者:明野照葉文藝春秋
ホラー短編集。朱川湊人の劣化版という印象だが、悪くなかった。
「かっぱタクシー」は子供を失った妻が呆ける話で、最後に罪の告白をする。
「三途BAR」は恋人を失った女の話で、現実の境がなくなるこの話は傑作。
ジェリーフィッシュ」は現代版の座敷童という趣で、不思議な印象。
その後の作品は中だるみするが、最後の「雨女」と「澪つくし」が良かった。
人の死を感じ取る家系の話だが、これが主題にすればよかったのに。
人の死に対する寂しさやはかなさは十分感じることができた。
ただ、ホラーとしての怖さと、話の面白さに欠けたのは致命的だ。
面白くない訳では無い。雰囲気もある。次作も読んでみたいと思う。