悦びの流刑地

作者:岩井志麻子集英社文庫
昭和初期の貧民窟に住む、料亭に勤める姉と盲目の弟の物語。
姉が勤める料亭から、女流作家の書き損じの原稿を持ち帰り、弟に読んで聞かせる。
以前から近親相姦の中にあった二人だが、原稿を読むことでますます劣情をもよおす。
姉のいない時間に訪ねてくる活動弁士や幼い少女。
女流作家の書き損じの小説が現実と交じり合い、正気を失っていく弟。
最後に明らかになる結末は鮮やかだ。花輪和一の漫画を彷彿する。

悦びの流刑地 (集英社文庫)

悦びの流刑地 (集英社文庫)