砂漠の薔薇

作者:新堂冬樹幻冬舎
最近のほのぼの路線の作品は読まなかったので、久々に読んだ。
テーマはお受験で、主人公は被害妄想に凝り固まった主婦。
「何でそこまで先読みして、不幸なことを考えるの?」
ということを考える人物を書かせたら、この作者の右に出る人はいない。
読んだ後に嫌な感じを持たせる作品も、この作者の得意とするところ。
主婦ののぶ子は、都営住宅に住む平凡な主婦だが、幼なじみに感化され、
娘を幼稚園の受験に挑ませる。幼なじみ達は収入も多く、生活のレベルが違う。
普段のお茶会でバカにされ、卑屈な思いをするが、
仲間の一人が万引きをするところを目撃してから、立場が逆転する。
その後、のぶ子の狂気は自殺、殺人とエスカレートする。
極端なデフォルメが真骨頂だ。もっと突っ走ってくれたらよかったのにな。
この人の作品を読むと、心がささくれ立つ。だから悲惨な破滅を期待してしまう。
「無間地獄」「カリスマ」「鬼子」のようなイカれた作品をもっと読みたい。