「八つ墓村」は実在する

作者:蜂巣敦ミリオン出版
横溝正史の「八つ墓村」と言えば「津山30人殺し」をベースにしていることが有名だ。
この本も最初は68年前に事件の起きた部落を訪れるところから始まる。
津山の事件は複数の本で概要は知っていたので、新しい発見はなかった。
でも、今でもそのことに触れられたくない住民の閉鎖性には驚かされた。
墓石に刻まれた同じ日の命日と「殺戮」の文字を発見する不気味さ。
このルポの面白いところは、「津山30人殺し」を探るのに留まらないところだ。
八つ墓村」は落武者をだまし討ちにする伝説から始まる。
筆者はそのモデルになった場所が別にあるのではと考え、探し始める。
様々な場所に行き、色んな人から情報を集め、史跡を訪ね歩くところが面白い。
一つの事件だけでなく、岡山の様々な歴史、言い伝えから八つ墓村ができたのだ。