メリーゴーランド

作者:荻原浩|新潮社
この人の作品にはハズレはない。もっと有名になってもいいと思う。
東京のメーカーを退職し、趣新地の地方都市で公務員をしている啓一が主人公。
妻と二人の子供と一戸建ての家に住み、残業も休日出勤もない優雅な日々。
そんな啓一に村おこしのために作ったテーマパークの立て直しの辞令が下りる。
経営を任されていた第3セクターは、公務員の天下り先になっており、
役所以上にやる気はなく、そのくせ、形式だけには異常なほどこだわっていた。
別にがんばらなくてもいいのだが、子供の何気ない一言でやる気を取り戻した啓一。
役所の同僚や第3セクターの役員に邪魔をされながらも、
かつての演劇仲間を呼び寄せ、テーマパークの再建に奔走する。
だめな公務員の描き方は誇張が大きすぎて、とことん腹が立つような描き方だし、
ゴールデンウィークの集客の様子は読んでいて楽しくなる。
このコントラストが面白さを増している。読後、やる気の出てくる小説だ。

メリーゴーランド

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