未明の悪夢

作者:谺健二光文社文庫
阪神大震災の当日に密室殺人やバラバラ殺人が起きる。
被災した私立探偵は瓦礫の中で犯人を捜し始める。
ミステリ作品なのだが、作者の被災体験をベースにした、
120ページから始まる震災の描写は見事で、心が痛かった。
三宮から元町にいたる震災翌日の惨状や救助活動の実態など、
驚くほど克明に描かれていた。ミステリというより震災記録だ。
崩壊した家の下敷きになった人を助けられず、心を病み、
ついには自殺してしまう在日朝鮮人などは実際にいたのだろう。
探偵役となる女性占い師も震災のショックで終盤までPTSDの症状。
徐々に復興が進み、やがて連続猟奇殺人事件の謎も徐々に解かれていく。
後半はミステリとしても面白かった。
ただ、この作者の名前は何だかポルノ小説家みたいだ。

未明の悪夢 (光文社文庫)

未明の悪夢 (光文社文庫)