ハナシにならん! 笑酔亭梅寿謎解噺2

作者:田中啓文集英社文庫
金髪トサカ頭の噺家の弟子の竜二と、飲んだくれの師匠の梅寿のコンビにによるコメディの2作目。
二人の行き先には常にトラブルが待ち構え、否応なしに巻き込まれていく。
東京の若手落語家たちと戦い、梅寿のかつての兄弟弟子の売れっ子芸人を酔いつぶす。
竜二は、突撃グルメリポーターなのに、テレビカメラの前でケツを出す。
梅寿は口論の末、漫才師の女マネージャーを張り飛ばし、訴えられ、芸能事務所を首になる。
一門は独立を画策するが、100円ショップの経営者に竜二だけが気に入られ、梅寿から破門される。
梅寿と竜二は互いに同じ劇場で独演会を開き、対決することになる。
だが、その直前に竜二のパトロンが失踪し、竜二はヤクザから借金を背負わされる。
スピーディなストーリーだが、7つの短編で構成されている。
笑いのシーンは多いが、基本的には謎解きと人情話の落ちが着く。
師匠の梅寿は意地汚く、酒飲みで、電柱で立ち小便をするような典型的な関西のダメ親父。
迷惑極まりない存在だが、不思議な魅力があり、竜二とのやり取りは非常に面白い。
1作目の「ハナシがちがう!」よりパワーアップしていて、大阪の人ならかなり笑えるだろう。