無限遠

作者:香納諒一小学館文庫
元カメラマンで、現在は探偵で糊口を凌いでいる辰巳翔一。
カメラマンを辞めるきっかけとなった、やらせ事件。
スクープ写真は、甲子園出場が決定的だった高校生投手だった浩嗣を退学に追い込んだ。
決別したはずの過去に向き合う依頼がやってくる。
従妹だと名乗る早希が、浩嗣の失踪を告げ、行方を探って欲しいとの依頼。
苦い思い出が残る場所で、辰巳は浩嗣を探し始める。
首都圏の研究機関を移設しようとしたこの土地は、先住民との軋轢も表面化しつつあった。
浩嗣が失踪した直後に、3人の女子中学生が飛降り自殺をしていた。
辰巳は、浩嗣が地元やくざの地上げの重大な証拠を握っていた事実をつかむ。
だが、浩嗣に行きつくまでに、辰巳は様々な妨害に直面する。


作者の初期の作品だが、完成度は高い。
辰巳が主人公の2作目の「蒼ざめた眠り」が出たのは、2010年。
本作は1993年の作品で、元のタイトルは「春になれば君は」という。
タイトルを変えるにあたり、加筆修正をしているとのこと。
ちょっと作者の立ち回りがうまければ、シリーズ化すべき内容だったと思う。


無限遠 (小学館文庫)

無限遠 (小学館文庫)