灼夜

作者:永瀬隼介|角川文庫
中学生の篤は、父が失踪し、水商売の母親と共に江戸川区の都営住宅で、屈折した生活を送っていた。
中国人の汚い子供をいじめていると、その親戚の美少女リーホウに見咎められる。
その後、汚い子供は同胞の中国人に誘拐され、篤はリーホウとともに誘拐犯を探す羽目となる。
篤は先輩の残留孤児の3世で不良組織の尾崎に相談し、3人で誘拐犯と交渉することになる。
尾崎はすぐに誘拐犯に渡りをつけるが、身代金をごまかそうとして、トラブルに巻き込まれる。
錦糸町靖国神社、新宿、池袋を一晩で駆け抜けるスピード感あふれるストーリー。
篤以外の登場人物はお互いを出し抜こうとして、展開にはスリルがあった。
また、中国人の貧乏人の残酷な現実を語るシーンは読みごたえがだった。
ただ、狂言回しを中学生の篤に設定した時点で、この作品には少し無理があったな。
面白かったけど、ちょっと残念。


灼夜 (角川文庫)

灼夜 (角川文庫)