バスのから騒ぎ

作者:山本甲士|双葉文庫
地方都市で繰り広げられるバス釣りと反対派が繰り広げるドタバタ劇。
連作集になっており、それぞれの話の主役が不幸な場面に巻き込まれる。
テレビのドキュメンタリーの収録では、横柄なプロデューサーがスタッフから見放される。
キャッチ&リリースの融和策を考えた議員は、バス釣りを自分も経験しようとし、事故を起こす。
バス釣り派の釣具店の店員は、地方紙のインタビューを受けるが、中傷されるような記事にされる。
この地域の水棲動物の調査をする大学助教授は、バス釣りにはまってしまう。
ヘラブナ釣り派で、バス釣り反対派の男性は、対立するグループとの話し合いに出かけ、トラブルになる。
釣には興味がないが、池に沈んだルアーをサルベージし、ネットオークションで売ろうとするニート
ここに登場する人物は愚かで、沸点が低い。
巻き込まれ型小説だが、奥田英朗ほど深刻ではなく、ギャグの要素が強い。
さりげなく出てくる人物が悪意に満ちていたり、てん末を新聞記事の体裁で締めくくるのは笑える。
この作品に描かれている人物は、周りでもいそうなタイプなので、面白い。


バスのから騒ぎ (双葉文庫)

バスのから騒ぎ (双葉文庫)