銀座ブルース

作者:柴田哲孝双葉文庫
終戦直後の銀座は、闇市バラック進駐軍といかがわしい雰囲気に満ちていた。
そんな中で暗躍する刑事を描いた暗黒小説。
主人公の武田は、かつて共産主義者を虐殺した過去を持つ。
空襲で死亡した同僚の母子の面倒をみるため、いかがわしい連中と付き合い、犯罪すれすれの生活。
小平義雄、帝銀事件GHQの権力闘争、国鉄下山総裁の変死事件。
帝銀事件は冤罪だと言われているし、下山総裁の変死はGHQが深くかかわっている可能性がある。
戦後のミステリーに、武田という悪徳刑事を配し、謎を明かそうとする意欲的な作品。
当時の風俗も詳しく、武田の周りに太宰治平塚八兵衛が登場するのも面白い。
また、武田と美音子の悲恋も色を添えている。

銀座ブルース (双葉文庫)

銀座ブルース (双葉文庫)