明日この手を放しても

作者:桂望実|新潮社文庫
凜子は19歳で視力を失い、直後に母親が交通事故で亡くなる。
父は漫画家で、順調に連載を重ねていたが、母の死後に失踪する。
兄の真司は、凜子の2つ年上で、三流大学を卒業し、ブライダルの仕事をしていた。
凜子は兄のガサツな性格に苛立ちながらも、兄妹で生活を確立していく。
凜子は父の漫画の原作者として、盲目の少女を主人公とした漫画でヒットを飛ばす。
凜子と真司は互いに反発しながらも、共同生活を続ける。
ガサツに思えた真司が仕事を続けながらも、凜子の漫画の原作に協力する。
目の見えない凜子は次第に真司の良さを見つけ、真司も成長していく。
2人で生きていく10年間を淡々と描いた作品で、劇的なシーンはないが面白い。
作家としての筆力が発揮された作品だった。


明日この手を放しても (新潮文庫)

明日この手を放しても (新潮文庫)