叙情的恐怖群

作者:高原英理毎日新聞社
7編の短編が収録された、異質のホラー小説。
「町の底」は明治時代に起きた食人事件が、現代まで影響を及ぼしている町の話。
「呪い田」は忌地の話で、特定の名前を持つ人が連鎖的に死んでいく話。
「樹下譚」はタクシーの運転手が語る、幼いころの座敷牢にいた女性の話。
「グレー・グレー」は死者となった恋人と、夜の街を散歩する話。
「影女抄」はサディストのレズビアンが見た幻想。
「帰省録」は幼い頃に目撃した、動体から切断された死体の謎を解こうとする話。
「緋の間」は高額の報酬に目がくらんだ大学生が、日本家屋で遭遇する怪異。
いずれの話も幻想的で、結末にはどんでん返しがある。ホラーとしては上質だと思う。
残酷で、よくこんなことを考え付くなという展開が素晴らしい。
ただ、手放しで評価はできないし、自分には合わなかった。
文章が読み辛すぎるのが決定的な難点。悪くないのだが、再読する気にはなれない。

抒情的恐怖群

抒情的恐怖群