殺人の門

作者:東野圭吾|角川文庫
幼少時代から、幼なじみに殺意を抱く男の大河小説。
昭和40年代後半からバブルの崩壊までの東京を舞台にしている。
歯医者の息子の田島は、小学校の頃に倉持に出会い、最初の詐欺に会う。
田島の家は祖母の死後、家族がバラバラになってしまう。
苦労して、社会に出た田島だが、倉持がつきまとい続ける。
ねずみ講、老人をターゲットにした金のペーパー商法などの片棒を担ぐはめになる田島。
騙されたとわかったたびに倉持を殺そうとするが、はぐらかされ続ける。
人を殺したいという欲求が強いのに、煮え切らないマヌケな主人公に、容赦ない試練が押し寄せてくる。
普通、主人公には肩入れしたくなるのだが、そんな気持ちになれない不思議な展開。
昭和を懐かしく思う小説。やはり、この人は面白い小説を書く。