白日の鴉

作者:福澤徹三|光文社
単行本オビ
製薬会社のMR・友永孝は見知らぬ男女から電車内での痴漢の疑いをかけられて駅から逃走、駅前交番の新人巡査・新田真人に逮捕された。
友永は無実を訴えるが、聞き入れられず留置場へ。
後日、真人は被害者の女子大生と目撃者の中年男に疑いを抱き、老弁護士・五味陣介に協力を求めるが―。
三人は、想像以上に深い事件の闇へひきずりこれまていく。留
置場から拘置所、そして法廷へ。
仕組まれた冤罪との闘いを徹底した緻密さで描く、異色の警察小説!


主人公が窮地に陥り、逆転するストーリーは面白い。
これではありきたりになるのだが、主人公を捕まえた警官が協力者となる展開が意外。
友永も新田も実直で、ひねくれた弁護士の五味もやがて協力者となる。
単なる置換冤罪と思われた事件が、大きな事件を掘り起こしてしまうところはちょっとご都合主義な感じ。
でも、それを上回る展開が描かれ、上手い作家だと思う。
本業の怪談は少し減ったけど、単行本を見つければ、文庫本を待たずに無条件に買ってしまう作家のひとりだ。
読書は最高の時間つぶしだと思わせてくれる。


白日の鴉

白日の鴉