勇者たちへの伝言

作者¥:増山実|ハルキ文庫
文庫本裏書
ベテラン放送作家の工藤正秋は、リサーチのために乗車していた阪急神戸線の車内アナウンスに耳を奪われる。
「次は……いつの日か来た道」。
謎めいたアナウンスに導かれるように、彼は反射的に電車を降りた。
小学生の頃、今は亡くなった父とともに西宮球場で初めてプロ野球観戦した日のことを思い出しつつ、街を歩き始めた正秋。
いつしか、かつての西宮球場跡地に建つショッピング・モールに足を踏み入れる。
正秋の意識は、そこから「いつの日か来た道」へと飛んだ。四十数年前へ――。


能登から大阪に出てきた父親と、在日朝鮮人との恋愛。
タイムスリップした正秋が、父の青春時代に触れ、過去の話がスタートする。
帰国事業で北朝鮮に戻り、苦難をなめた人たち。
今はなき、阪急ブレーブスで活躍した選手たち。
これは傑作。


勇者たちへの伝言 いつの日か来た道 (ハルキ文庫)

勇者たちへの伝言 いつの日か来た道 (ハルキ文庫)