砂の王宮

作者:楡周平集英社
単行本オビ
戦後、神戸三宮の闇市で薬屋を営んでいた塙太吉は、進駐軍の将校相手に御用聞きをしている深町信介と出会う。
薬を大量に売り捌くという深町の提案に乗った塙は、膨大な儲けを手にする。
昭和32年、門真にスーパーマーケット「誠実屋」を開業。
その後、格安の牛肉を店頭に並べることに成功し、業績は劇的に向上した。
東京への進出計画も順調に進むが、不動産王・久島栄太郎に弱みを握られ、さらに意図せず深町の死に関わってしまい、塙は絶体絶命の危機に陥る。



二部構成となっている作品で、塙太吉は戦後の混乱の中、薬屋からスーパーマーケットを開業。
仲間に恵まれ、関西で大成功するが、東京進出の際に、不動産王の久島に騙され窮地に陥る。
仲間の深町を見殺しにしたところで第一部は終了。


第二部は、窮地を脱した塙太吉は、日本を代表する流通王となっており、後継者問題に悩んでいた。
リニアの開通が見込まれる山梨に土地を買いあさり、人生の集大成となるショッピングセンターを計画。
だが、地元でレストランを経営する県会議員の瀬島が反対に回り、出店阻止を目論む。


終盤に塙と瀬島の関係が明らかになるのだが、少し余計な気もした。
ただ、戦後から現代まで駆け抜けた成功者の物語は面白かった。
塙はダイエーの創業者の中内功、久島はホテルニュージャパンの横井がモデルとなっている。


砂の王宮

砂の王宮