路 ルウ

作者:吉田修一|文春文庫
文庫本裏書
台湾に日本の新幹線が走る。
商社の台湾支局に勤める春香と日本で働く建築家・人豪の巡り逢い、
台湾で生まれ戦後引き揚げた老人の後悔、
「今」を謳歌する台湾人青年の日常…。
新幹線事業を背景に、日台の人々の国を越え時間を越えて繋がる想いを色鮮やかに描く。
台湾でも大きな話題を呼び人気を博した著者渾身の感動傑作。


学生時代に旅行で訪れた台湾で運命の出会いをした春香。
彼女は商社に入り、台湾の新幹線プロジェクトのメンバーとなった。
運命の相手、人豪は春香のことが忘れられず、日本の大学で建築学を学んだ。
そのまま日本の建設会社に就職し、大きな仕事を任せられるようになった。
二人は一度台湾で出会ったきりだったが、周りを取り巻く人たちから再開のお膳立てをしてもらう。
この作品の素晴らしいところは、春香と人豪以外の人物にも丁寧な描写をしていることだ。
特に大きな事件も起きないが、新幹線開通に向けて、悩み、協力し合い、人間関係も変化していく。
作者の台湾への愛情も感じられ、非常に面白かった。


路 (文春文庫)

路 (文春文庫)