死屍累々の夜

作者:前川裕|光文社
単行本オビ
なぜ男は、10人を殺害し、6人の女とともに集団自殺を遂げたのか。
なぜ女は、ただひとり、生き残ったのか。
稀代の惨劇「木浦事件」の1年にわたる経過を追い、謎多き犯人の実像に迫る、圧巻のフェイク・ドキュメンタリー。

1984年7月4日。
本駒込の老舗旅館「はぎのや」を木裏健三がはじめて訪れた。
悪夢はそこから始まり、醒めることはなかった。

0年を経て、なお多くの謎に包まれたままの「木裏事件」。
命を落とした者は20人に迫り、信用に足る証言は少ない。
事件に関連して叔父を亡くしたジャーナリストは、渦中にいながら今もなお生きながらえているひとりの女性の行方を突き止める。
彼女の口から語られた、事件の意外な真相とは―。



木浦健三の経歴は特異で、東京大学助教授をしていたが、ヤクザの大親分の娘と結婚。
だが、新婚まもないころ、妻を殺害して、刑務所に10年以上服役。
出所後、静岡にある実家の売春管理業を受け継ぎ、東京に進出する。
そこで目をつけたのが、老舗旅館の「はぎのや」だった。
経営者家族を騙し、監禁し、次々に殺害していく。さらにその親戚夫婦も殺害。
この作家は不気味な人物を造形するのが上手いが、本作は今まで以上に不気味だ。
ストーリーは過去の事件の描写と、現在生き残っている人の証言で綴られる。
良くできているが、結末があっけなかったな。


死屍累々の夜

死屍累々の夜