国を蹴った男

作者：伊東潤｜講談社文庫
文庫本裏書
信玄や信長、秀吉は天下に手を伸ばした名将でありながら、ときに義を忘れ欲から逃れられずに生涯を閉じた。
一方で、彼らに翻弄されつつも恩を重んじ、自らの信念を貫き通した者たちがいた。
明日なき乱世で、誇り高き牢人、茶人、職人らが命を賭して挑む、それぞれの戦いを活写する。
吉川英治文学新人賞受賞作。

6本の作品が収録されている。
「牢人大将」は義理もないのに、武田家と共に滅ぶ牢人の男気溢れる話。
「医は算術に候」は長束正家と石田三成を描いた作品で、せこさが命取りになる話。
「短慮なり名左衛門」は上杉家の家督を継いだ景勝に不満を持つ国侍の話。
「毒蛾の舞」は賤ヶ岳で決戦に臨む佐久間盛政が前田利家の妻まつから依頼を受ける話。
「天に唾して」は秀吉に追われた茶人山上宗二が意地を見せる話。
「国を蹴った男」は今川氏真と蹴鞠職人を描いた話。
いずれも面白かった。

国を蹴った男 (講談社文庫)