螺旋階段

作者:山本譲司|光文社
単行本オビ
大手総合デベロッパーの部長職にある阿子島洋介は、決して何か大きな幸せを摑んでいるわけではない。
かといって、絶望的な苦悩を抱えているわけでもない。
そんな変哲もない人生かもしれないが、ここのところは毎日、充実感を持って過ごすことができているように思っていた。
出張に向かう新幹線の中で、妻からの電話を受け取るまでは。
彼は災厄の連鎖に曝されていくことになる。
家族とは、仕事とは、その充実感とは、生き甲斐とは、人間、自分が依って立つところとは、そして、一喜一憂からの解放とは……。


阿子島の次男が覚せい剤所持の疑いで、家宅捜索が入った。
次男は逃亡し、行方不明になる。
出張先の大阪では商談のクロージングが目前だったが、政治家の横やりが入り、白紙に。
次男は逃亡後、警察に出頭するが、入手先を口にすることはなかった。
だが、実は覚せい剤を使用していたのは、医師である長男だった。
次男は身代りになろうとしたのだが、長男は自殺を図り、事実が発覚する。
さらに妻には癌の診断が下り、阿子島家は度重なる災難に巻き込まれていく。


不幸の連鎖は読みごたえがあり、面白かった。



螺旋階段

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