思い出探偵

作者:鏑木蓮PHP文芸文庫
文庫本裏書
思い出は心を豊かにもすれば、苦しめもする―
小さなガラス瓶、古いお守り袋、折り鶴…、
そうした小さな手がかりから、依頼人の思い出に寄り添うようにして、人や物を捜し出していく“思い出探偵”。
京都御所を臨む地で「思い出探偵社」を始めた元刑事の実相浩二郎は、他のメンバーと共に思い出と格闘し、依頼人の人生の謎を解き明かす。
乱歩賞作家が紡ぎ出す、せつなさと懐かしさが溢れるミステリー。


息子が水死した事件を自殺で片づけられ、妻はアル中になった。
実相は刑事を辞め、「思い出探偵社」をはじめる。
所長の実相と調査に当たるのは、元看護師で750ccを乗りこなすバツイチの一ノ瀬由美。
32歳の時代劇俳優志望の本郷雄高と、ストーカーに両親を殺害された橘佳菜子。
4人のメンバーで依頼者の思い出の品から、過去に交差した人を探し出す。
4つの話が交差しながら進むが、いずれも面白い。
一つだけ、佳菜子の両親を殺害したストーカーと対峙する話がある。
サイコパスを相手にする本編とはかけ離れたサスペンスだが、緊迫感があった。


思い出探偵 (PHP文芸文庫)

思い出探偵 (PHP文芸文庫)