氷の華

作者:天野節子|幻冬舎文庫

  • あらすじ

恭子は叔父から広大な家や財産を相続した30代半ばの専業主婦。
夫の隆之は、叔父の会社の営業部長となり、将来が約束されていた。
二人には子供はいないが、恭子は日夜美貌を磨いていた。
ある日、夫の海外出張中にかかってきた電話が、恭子の日常を変えた。
相手は隆之の浮気相手で、妊娠したので、夫と別れてほしいという内容だった。
激情に駆られた恭子は、不倫相手を毒殺する。
だが、不倫相手には妊娠していた兆候は報じられず、本当に愛人だったかと疑問を持つ。
出張から帰国した隆之は、参考人として警察に呼ばれる。
取り調べをした戸田警部補は、隆之の妻に不審点を見出す。
間違った相手を殺すように仕向けた相手は誰なのか、恭子は一人で探し始める。
戸田警部補は、恭子の殺害計画を丹念に調べ、徐々に恭子に迫っていく。

  • 感想

聞いたこともない作家の本だったので、あまり期待をせずに読んだが、面白かった。
罪から逃れようとする恭子と、追い詰める戸田の駆け引きはスリルがある。
中盤で恭子が逮捕され、罪を認めるが、そこからの復讐劇が鮮やかだ。
二転三転とする展開は新人離れしているし、文章も上手い。まるでベテラン作家のようだ。
と思ったら、この作家は本作がデビュー作だが、すでにお歳は60歳を超えている。
セミリタイヤしてから、自費出版でこの作品を送り出し、その後単行本化された。
テレ朝で米倉涼子主演でドラマ化されるが、この作品なら面白くなるだろうな。
見ることはないと思うが。

氷の華 (幻冬舎文庫)

氷の華 (幻冬舎文庫)