いつか、虹の向こうへ

作者:伊岡瞬|角川文庫
第25回横溝正史ミステリ大賞テレビ東京賞をダブルで受賞した作品の文庫化。
石田純一が主人公で3年ほど前にドラマにもなったそうだが、見ていない。
女性宅に乱入してきた男を誤って刺殺してしまい、警察をクビになった46歳の尾木。
彼は現在、警備員のバイトをしながら、3人の居候と生活をしていた。
大学を休学中のジュンペイ、翻訳で生計を立てている石渡、影のある恭子。
そんな尾木の前に、かくまってほしいと若い女性が転がり込んでくる。
早希というその女性は、暗い居候たちを和ませる陽気な性格だった。
5人の生活は長く続かず、早希を追ってきたヤクザに尾木は叩きのめされる。
直後に、そのヤクザは陸橋から転落死し、目撃者の証言から早希が逮捕される。
尾木は早希の容疑を晴らすために、単独で捜査を開始する。
話が進む中で、尾木が有能な刑事だったエピソードが挿入され、居候たちの素性も明らかになっていく。
アル中寸前のおっさんが、警察やヤクザと対決するハードボイルド・サスペンス。
心に傷を負った登場人物たちが、事件に立ち向かっていく構図はありきたりだが、面白いミステリだった。

いつか、虹の向こうへ (角川文庫)

いつか、虹の向こうへ (角川文庫)