カメラマンと心霊写真

大阪で広告の仕事をしていたころだから、もう10年近く前になる。
広告やパンフレットを作ると、カメラマンと一緒に仕事をする機会が増える。
モデルや商品を撮影している姿を見ながら、上がってきた写真をチェックする。
基本的には楽な仕事だが、待ちの時間も多く、カメラマンを話をする時間が結構あった。
「撮影した写真の中で、ありえないものが写ったことはないですか?」
と自分はよく質問したが、皆、「そういう経験はないです」という答えだった。
誰も心霊写真のようなモノは撮ったことはないし、ありえないというコメントが多かった。
でも、某所にある体育館のようなスタジオの雰囲気は怖いということは複数の人から聞いた。
自分もその商品撮影用のスタジオで仕事をしたことがあったが、怖さは感じなかった。
「夜が怖いのですよ。」という。確かに自分が仕事をしたことがあるのは日中だけだ。
どう怖いのか聞くと、商品を格納している倉庫の中に何かの気配を感じることがあるようだ。
「それを撮影したいと思わないのですか?」と聞くと、「怖いじゃないですか。」という。
彼らも心霊写真を否定しつつも、何かが写ることには怯えていたように思えた。
ただ、それを撮ることに何のメリットもないから、敢えてレンズを向けないのだろう。
自分は霊の存在については否定派だが、不思議なものを見るのは好きだ。
だからプロが撮影したありえない写真を見てみたかったが、未だにそんな機会は巡ってこない。